『橋をめぐる』を読んで。そして図書館からの返答を頂きました。

『橋をめぐる』橋本紡 著

いつかのきみへ、いつかのぼくへ

という副題が付いています。

6つの短編からなっていて、東京の隅田川の周辺にかかっている橋が、それぞれの題目になっています。

清洲橋

広告会社に勤めるOL、友香。父と和解はできるか?

厳格な父と意見が合わずに、5年間会わずにいた間に、街は様変わりして全く知らない街になっていた。

その日はたまたま隅田川の花火大会だったけど、実感の周辺には高いマンションが立ち並んで、花火はほとんど見られなくなったという弟。

5年間という歳月は周りもそして人も変えていきます。

亥之堀橋

銀座でならしたバーテンダー、耕平。深川で自分の店を持つが。。

深川には古い町と新しい町が混在していて、古い商店街の自治会と新しいマンションとのちょっとしたいざこざを「よそ者気分半分」「地元気分半分」の耕平がつなぎ役としてちょうどいい立ち位置になって古いものと新しいものが上手く交わっていきます。

大豊橋

進学校の秀才と不良少年の再会

ガリ勉で、学校で上位の成績を維持することが、今の目標の少年。

中学校の時からとんでもないワルで、学校一の不良少年。

それでも唯一の友達同士。

ガリ勉の少年がたまに成績の話をする程度だと思っていた少年が事故死した時に、その母親が、亡くなった彼が、ガリ勉の彼のことを、「自分の友達なんだ」を話していたことを知って驚く。

携帯の「friend」というフォルダに唯一入っている名前を呼び出して、昔一緒に歩いた堤防を歩きながら、この先自分がどこにたどり着くかわからないけど、こうして歩いていれば、必ずたどり着くことは確かだと、思うことができる。

八幡橋

バツイチの佳子は英会話教室の生徒との逢瀬がやめられない

佳子はバツイチで小学生の子供がいる。

英会話教室の社会人クラスで知り合った男性と付き合っていて、彼の家で逢瀬をするが、彼の部屋は1LDKの分譲マンション。

だからこそ、佳子は彼と付き合っている。

どちらも家庭を育むための存在ではない。

佳子が離婚した理由は2度の流産。2度目は5ヶ月だったので、失望は計り知れないもので、時間が解決はしてくれなかった。

この離婚で、佳子は3度、名前を変えている。

結婚以前の苗字、結婚した時の苗字、母の再婚相手の苗字。

この八幡橋も3度名前を変えたことを知って、自分も同じだと思いながら、どれが自分の本当な名前なんだろうかと思う。

まつぼっくり橋

新居探しで足を棒にする美穂と哲也のカップル

哲也の同級生が深川にある不動産屋に努めていることから、彼に案内をしてもらうことになる。

哲也は中堅デペロッパーの設計の仕事をしている。

設計には大まかに二つあって、

構造や強度を担当するのは「構造屋」

内装やデザインを担当するのは「意匠屋」

哲也は意匠屋で、同級生は構造屋である。

1件2件3件を案内していくうちに、お互いの学生だった時の思いが蘇ってくる。

構造屋の同級生は、意に反した不動産営業をやっていて、哲也はだんだん彼に違和感を感じます。

3件目の物件はとても良かったのだが、シロアリにやられていることがわかって諦めようとするが、お互いの気持ちを吐露していくうちに、時は巻き戻せないけどこの先、時を新しく刻んでいくことはできる。

シロアリの侵食がどこまでなのか?自分たちで調べていくうちに、哲也は友達と一緒に建築事務所をやろうと言い出す。

構造屋と意匠屋が居てあと、営業がいたらできる!

永代橋

世田谷から来た千恵と、祖父エンジとの交流の物語

千恵の両親が自分の進学の事でもめていて、千恵は夏休みの間、祖父のエンジと一緒に暮らしている。

エンジは夕方になると、玄関前に縁台を出してダボシャツにステテコという格好で腰掛けて通りかかり人たちと話しかけている。

千恵はそういうことに慣れなくて少し恥ずかしいと思っている。

千恵は公園で楽しそうに遊んでいる子供たちと遊びたいけど、気軽に声がかけられない。

そんな時に、少女が声をかけてきてくれる。名前を言い合ってすんなりと打ち解け会えた気持ちになる。

下町雰囲気のある町に馴染みたくてもなかなか馴染めなかった千恵が少しずつ町に溶け込めるようになって、ある日、父親がやってきて「一緒に帰ろうと」と言います。

父親は、実はこの家がいやで勉強して早くこの家を出たかったという。

そして2階のこの部屋は、自分の部屋でそっくり残っていることが辛いという。

千恵は父親に「わたし、ここにいる」といい、両親のことを責め始めます。

結局、千恵は夏休みをエンジの家で過ごすことになり、別れのその日、エンジは千恵に言います。

千恵の住む世田谷とエンジの住む深川は直通の電車があって、いつでも来られる。

「気が向いたら来い」

「気が向かなかったら来なくていい」

「俺はずっとここにいる」

長々と書いてしまいましたが、気持ちが優しくなれるいい作品でした(^O^)

図書館から来た返答は

残念でした。

「ご要望にお応えすることはできない」

という事でした。

ちょっと期待していたので、残念ですが、仕方ないですね(^^;